成人式に黒スーツはだめなのか？礼服との違いや選び方のポイント

2025年10月13日成人式

一生に一度の晴れ舞台である成人式。

旧友との再会に胸を膨らませる一方、どのような服装で臨むべきか、頭を悩ませている男性も多いのではないでしょうか。

特に黒スーツは、フォーマルウェアの定番でありながら、礼服や喪服、あるいは就職活動のイメージが強く、「お祝いの席で着るのはだめなのでは？」と不安に思うかもしれません。

しかし、結論から言えば、黒スーツは決してNGではありません。

コーデの工夫や、組み合わせるシャツやネクタイの色を正しく選ぶことで、黒スーツは誰よりもスタイリッシュで大人びた印象を演出する強力なアイテムになります。

この記事では、成人式で黒スーツを格好良く着こなすための具体的な方法と、知っておくべきマナーを徹底的に解説します。

成人式に黒スーツはだめなのか？

一生に一度の成人式、スーツの色選びは非常に悩ましい問題です。

特に「黒スーツ」は、フォーマルな印象がある一方で、さまざまな固定観念も存在するため、お祝いの場に本当にふさわしいのか、多くの方が疑問に感じています。

このセクションでは、成人式での黒スーツ着用に関する根本的な疑問に答え、安心してスーツ選びができるよう、基本的な知識を詳しく解説していきます。

成人式に黒スーツを着ていくのはだめ？

結論から言うと、成人式に黒のスーツを着ていくことは決して「だめ」ではありません。

現代の成人式において、黒スーツはごく一般的な選択肢の一つとなっています。

黒いスーツがリクルートスーツの定番となったのは2000年代初頭からと比較的新しい流れで、それ以前は紺やグレーが主流でした。

現在では入学式や就職活動で購入した黒いスーツをそのまま成人式で着用する人も多く、ある専門学校生の回答によれば、体感で約4割が黒のスーツを着ているという意見もあります。

ただ、黒いスーツに対しては、文化的背景から様々な意見が存在することも事実です。

2022年4月1日から成人年齢は18歳へと引き下げられましたが、多くの自治体では従来通り20歳を対象に「二十歳のつどい」などの名称で式典を開催しています。
（参考：法務省 成年年齢引下げ特設ウェブサイト）。

このような人生の節目において、最終的にスーツに厳格な決まりはありません。

大切なのは、周囲への配慮を忘れず、お祝いの場にふさわしい清潔感と華やかさを意識した着こなしを心掛けることです。

黒スーツは無地がいい？それとも柄あり？

成人式で黒スーツを着る際に最も注意すべき点は、「喪服」や「リクルートスーツ」に見せないことです。

そのための最も効果的な方法が、生地の「柄」や「光沢感」にこだわることです。

光沢のない真っ黒な無地のスーツは礼服を強く連想させてしまうため、成人式では避けるのが賢明です。

生地に織り柄や上品な光沢が加わるだけで、スーツの表情は一気に華やぎ、お祝いの場にふさわしい特別な一着に変わります。

おすすめの柄

• ストライプ柄
  縦のラインが強調されることで、スマートで誠実な印象を与えます。

  スタイルを良く見せる効果も期待できるため、非常に扱いやすい柄です。

  特に、光の加減で模様が浮かび上がる「シャドーストライプ」は、遠目には無地に見えるため悪目立ちせず、さりげないお洒落を演出できます。

  他にも、細かい点で線を表現した上品な「ピンストライプ」もおすすめです。

  ただし、線が太すぎたり、ストライプの間隔（ピッチ）が広すぎたりするとカジュアルで派手な印象が強くなるため、品格を保てる範囲で選びましょう。

• チェック柄
  英国紳士のような、クラシカルでおしゃれな印象を演出したい場合に最適です。

  千鳥格子などを組み合わせた伝統的な「グレンチェック」や、大きな窓枠のような格子柄が特徴の「ウィンドウペーン」などを選べば、周囲と差がつく個性的な着こなしが可能です。

  チェック柄はややカジュアルな印象になるため、シャツやネクタイはシンプルなものを選び、スーツを主役にするとバランスが取りやすくなります。

黒スーツに合うシャツの色は？

スーツのVゾーン（胸元）の印象を大きく左右するのがシャツの色です。

黒という強い色をベースにするからこそ、シャツ選びは全体の雰囲気を決める重要な要素となります。

基本的には、清潔感があり、どんな色のネクタイとも合わせやすい定番の「白」や「サックスブルー（薄い水色）」が、失敗のない鉄板の選択肢と言えるでしょう。

黒スーツの下にベストを着ていってもいい？

ジャケット、パンツ、そしてベストの三つが揃った「スリーピーススーツ」は、通常のスーツスタイルよりも格式が高く、非常に華やかな印象になるため、成人式という特別な日に非常におすすめのスタイルです。

スリーピーススーツは、AOKIの着こなし解説ページにもあるように、スタイルを格上げする効果があり、成人式に最適です。

ベストを着用することには、見た目のおしゃれさ以外にも多くのメリットがあります。

• フォーマル度の向上
  ベストは元々ジャケットの下に着るのが正式なスーツの着こなしとされており、着用するだけで全体のフォーマル度が格段にアップします。

  ジャケットを脱いだ時でもシャツ一枚のラフな姿にならず、スタイリッシュな印象をキープできます。

• スタイルアップ効果
  Vゾーンが立体的になることで視線が上に集まり、身長を高く見せる効果が期待できます。

  また、お腹周りをすっきりと見せたり、逆に胸板を厚く見せたりと、気になる部分を自然にカバーしてくれる効果もあります。

• 実用的な防寒性
  成人式が多く開催される1月は寒さが厳しい時期です。

  ベストを一枚着込むことで、見た目を損なうことなく効果的な防寒対策になります。

「ベストはおじさんくさい」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それはサイズが合っていないことが原因の場合がほとんどです。

自分の体にジャストフィットするベストを選べば、年齢に関係なく、むしろ若々しく洗練された印象を与えることができます。

黒スーツに共生地の黒ベストを合わせるのが基本ですが、あえてチャコールグレーのベストを合わせる「オッドベスト」スタイルも、洒脱な上級者に見えるテクニックです。

黒スーツに似合うネクタイの色は？

黒スーツのコーディネートにおいて、ネクタイはVゾーンの主役であり、お祝いの気持ちを表現する最も重要なアイテムと言っても過言ではありません。

ここで最も注意すべきは、お葬式を連想させる黒無地のネクタイは絶対に避けることです。

成人式にふさわしい、華やかで品格のある色や柄を選びましょう。

おすすめのネクタイカラー

成人式に黒スーツはだめ？着こなしのコツ

黒スーツを成人式でスタイリッシュに着こなすためには、スーツ単体だけでなく、シャツ、ネクタイ、靴、小物に至るまで、全体のコーディネートが極めて重要です。

それぞれのアイテムを正しく組み合わせることで、「だめ」と言われるどころか、周りから一目置かれる非常におしゃれな装いが完成します。

ここでは、具体的なコーディネート例や、印象を格上げするアイテム選びのコツを詳しく紹介します。

成人式の黒スーツのおすすめコーデは？

黒スーツをベースにした、成人式におすすめの具体的なコーディネートを4パターンご紹介します。

これらの組み合わせは、多くの人が取り入れやすい王道スタイルから、個性を発揮できる上級者向けスタイルまでを網羅しています。

ぜひ自分らしいスタイルを見つけるための参考にしてください。

王道の上品スタイル

シャドーストライプの黒スーツに、織り柄の入った白シャツ、そしてボルドーのネクタイを合わせるコーディネートです。

これは最も失敗が少なく、誰からも好印象を持たれる王道の組み合わせです。

黒と白のシックなコントラストに、ボルドーの深い赤みが加わることで、上品な色気とお祝いの場にふさわしい華やかさが生まれます。

鉄板のモノトーンスタイル

同じくシャドーストライプの黒スーツと白シャツをベースに、ネクタイをストライプ柄入りの黒やシルバーグレーにする組み合わせです。

ネクタイに柄や光沢があるため、喪服のような印象になることはありません。

色数を抑えることで、非常に洗練された都会的なコーディネートが完成します。

シンプルながらも素材感や柄で魅せる、大人のスタイルです。

知的で爽やかなスタイル

ピンストライプの黒スーツにサックスブルーのシャツ、そしてネイビーの無地または小紋柄のネクタイを合わせるスタイルです。

ブルー系のグラデーションでまとめることで、統一感が生まれると同時に、非常に知的で爽やかな印象を与えます。

新成人らしいフレッシュさと誠実さを表現したい方に最適な組み合わせです。

シックなモードスタイル

黒スーツに黒シャツを合わせ、ネクタイはあえて締めずに第一ボタンを開けるか、もしくはシルバーやボルドーの光沢あるネクタイで一点アクセントをつける上級者向けのコーディネートです。

非常にスタイリッシュでファッショナブルな反面、着こなしが難しいスタイルでもあります。

全身をモノトーンで統一することで、他にはない独特のモード感を演出し、強い個性を発揮できるでしょう。

黒スーツに合う靴の色は？

「おしゃれは足元から」という言葉がある通り、スーツスタイルにおいて靴選びは非常に重要です。

そして、スーツスタイルの最も基本的なマナーとして、ベルトと靴の色は必ず合わせるというルールがあります。

これを守るだけで、コーディネート全体に統一感が生まれ、ぐっと引き締まった印象になります。

黒スーツの場合、合わせる靴の色は以下の2色が基本となります。

黒

最もフォーマルで、どんな場面でも間違いのない組み合わせです。

スーツと色が統一されることで、脚が長く見える効果も期待できます。

特に格式を重んじる場合は黒一択です。

デザインは、つま先に横一文字の切り替えが入った「ストレートチップ」が最もフォーマルとされています。

革の質感も重要で、エナメルのような強い光沢は避け、丁寧に磨き上げられた上質なカーフ（仔牛革）の靴を選ぶことで、品格が漂います。

ダークブラウン

全身が黒では重厚すぎると感じる場合に、足元に少し軽やかさと、こなれたおしゃれ感を加えることができる選択肢です。

ただし、あくまで「ダーク」ブラウンであることが重要です。

ライトブラウンのような明るい茶色は、黒いスーツから浮いてしまい、足元だけが目立ってカジュアルな印象が強くなりすぎます。

成人式のようなフォーマルな場では避けた方が無難です。

成人式に黒シャツを着るのはダサイ？

成人式の服装に厳格な色のルールはないため、黒シャツを着用すること自体がマナー違反というわけではありません。

しかし、一般的なビジネスシーンやフォーマルシーンではまず選ばれない色であるため、その是非については意見が分かれるところです。

「ダサイ」か「おしゃれ」かは、本人のキャラクターと着こなしのレベルに大きく左右されると言えるでしょう。

もし黒シャツを選ぶ場合は、コーディネートで野暮ったく見せない工夫が不可欠です。

スーツ、シャツ、ネクタイまで全てを真っ黒にしてしまうと、Vゾーンが完全に沈んでしまい、メリハリのない印象になってしまいます。

光沢のあるシルバーやボルドー、あるいはシックなグレーのネクタイを合わせることで、Vゾーンが引き締まり、格段にスタイリッシュに着こなせます。

ポケットチーフで白やシルバーを挿して、胸元に明るさを加えるのも非常に効果的なテクニックです。

成人式に黒スーツはだめなのか？まとめ

この記事を通して解説してきたように、「成人式に黒スーツはだめ」という画一的なルールは存在しません。

着こなしのポイントさえ押さえれば、黒スーツはむしろお祝いの場にふさわしい、華やかでスタイリッシュな装いになります。

最後に、成人式の黒スーツスタイルを成功させるための重要なポイントをまとめます。

• 成人式に黒スーツを着用すること自体はマナー違反ではない
• 最大の課題は喪服やリクルートスーツに見せない工夫をすること
• スーツの生地は無地ではなく光沢のあるものや織り柄（ストライプ等）を選ぶ
• シャツは清潔感のある白やサックスブルーが基本で織り柄入りが特におすすめ
• 黒シャツは個性的でおしゃれだが夜の仕事のように見えるリスクも理解する
• 防寒と格式アップを兼ねてベストを着用するスリーピーススタイルは非常に有効
• ネクタイは弔事用の黒無地を絶対に避け、シルバーやボルドーなど華やかな色を選ぶ
• 結び目にディンプル（くぼみ）を作るとVゾーンが立体的になりこなれた印象になる
• 靴とベルトの色は黒かダークブラウンで必ず統一する
• 靴下は座っても素肌が見えないダークカラーの長いもの（ロングホーズ）が必須
• 胸元にポケットチーフを挿すだけでお祝いのムードが格段に高まる
• どんなに高価なスーツもサイズが合っていなければ台無し、ジャストフィットを何よりも優先する
• 着用前には必ずシワや汚れがないかを確認し、清潔感を保つ
• コーディネート全体で使う色数を3色以内に抑えると洗練された印象にまとまりやすい
• そして最も大切なのは、新しい門出を祝う気持ちを持ち、自信を持って堂々と振る舞うこと